米国大学入試ニュース

米大学のCS専攻入学者が12.4%減、2026年秋の学部動向を解説

全米学生情報センターの速報によると、2026年秋の米大学学部入学者数は0.6%微増にとどまり、4年制大学のコンピュータサイエンス専攻は12.4%急減しました。最新データから専攻選びの傾向と日本の受験生への影響を解説します。

この記事のポイント

  • 米大学学部の入学者数は0.6%増と、前年の2.4%増から成長が鈍化
  • 4年制大学のCS専攻生が12.4%急減する一方、工学や医療系は6%超増加
  • 修士課程は3.7%減少しており、専攻や課程による人気の二極化が進む

2026年秋の米大学入学動向:何が発表されたのか

米国の高等教育機関における学生動向を調査している全米学生情報センター研究センター(National Student Clearinghouse Research Center)が、2026年秋の入学者数に関する速報データを発表しました。今回の発表は、同センターにデータを報告する教育機関の46%(学生数にして790万人分)の回答に基づいた暫定的な集計です。

発表内容によると、2026年秋の米国の学部(undergraduate)全体の入学者数は、前年比で0.6%の微増にとどまりました。2024年から2025年にかけては2.4%の増加を記録していましたが、そこから伸びが大幅に減速した形です。

特に注目すべき変化が見られたのは専攻分野別のデータです。長年にわたり高い人気を誇ってきた4年制大学のコンピュータサイエンス(CS)専攻の学部生が、前年比で12.4%も急減しました。一方で、工学(engineering)や医療・保健専門職(health professional degree)の専攻はそれぞれ6%を超える急増を見せており、選ばれる分野の二極化が浮き彫りになっています。

また、大学院(graduate)の動向に目を向けると、全体で1.6%減少しており、その中でも修士課程(master’s)の入学者数が3.7%減と大きく落ち込みました。全米学生情報センターの上席リサーチディレクターであるマシュー・ホルサップル(Matthew Holsapple)氏は記者会見において、「今秋の重要な変化は広範囲にわたる減少ではなく、昨年見られたような広範な成長の喪失である」と述べています。

学部入学者数の伸び悩みとコミュニティカレッジの動向

学部全体の入学者数が0.6%の微増にとどまった背景には、学校の種類による違いがあります。今回の小幅な増加を牽引したのは、主に2年制の公立大学であるコミュニティカレッジでした。コミュニティカレッジの入学者数は前年比で1.2%増加しており、前年の秋に記録した3.5%増に引き続いてプラス成長を維持しています。

対照的に、4年制大学の入学者数は公立・私立を問わず、ほぼ横ばい(flat)で推移しました。ホルサップル氏が指摘するように、学位プログラムの種類や入試の難易度区分、大学の所在地などに関わらず、4年制大学全体で成長の勢いが失われている状況がうかがえます。

米国の大学経営において重要な収入源となってきた修士課程の学生数も下落傾向が続いています。修士課程の入学者数は前年の秋にも2024年比で0.4%減少していましたが、今秋は3.7%減となり、減少幅がより明確になりました。

なぜコンピュータサイエンス専攻が12.4%も急減したのか

今回の調査結果で最も衝撃的なトピックは、これまで出願倍率を高め続けていたコンピュータサイエンス専攻の急激な退潮です。

ホルサップル氏によると、コンピュータサイエンスは長年にわたる強い成長を牽引してきたものの、昨年の秋から減少へと方向転換し、今秋はその落ち込みがさらに顕著になったと説明されています。専攻分野別の落ち込みとしては、今回の全米データの中で最大規模のマイナスとなりました。

この背景として記事では、テック企業における人員削減(レイオフ)と、自動化されたコーディング技術の普及が指摘されています。ニューヨーク連邦準備銀行のデータによると、2024年時点におけるコンピュータサイエンスおよびコンピュータエンジニアリングの新規大卒者の失業率は、それぞれ7%と7.8%に達していました。これは学位分野別の新規大卒者の失業率として極めて高い水準であり、同年の大卒全体の失業率を約3ポイント上回るものでした。

「CSを学べば就職に有利である」というこれまでの認識が雇用の現場で揺らぎ始めたことが、学生たちの専攻選択に直接的なブレーキをかけたと考えられます。

分野によって分かれる明暗:工学・医療系は6%超の増加

一方で、すべてのSTEM(科学・技術・工学・数学)分野や専門職分野が敬遠されているわけではありません。

  • 工学(engineering): 学部入学者数が前年比で6%超の増加
  • 医療・保健専門職(health professional degree): 学部入学者数が前年比で6%超の増加
  • 視覚・舞台芸術(Visual and performing arts): 学部入学者数が4%超の減少
  • リベラルサイエンス(liberal sciences): 学部入学者数が4%超の減少

このように、技術革新や雇用の変化に直面する中でも、工学や医療系のような資格・実務に直結する分野には引き続き強い需要が集まっています。一方で芸術系や教養系の科学分野では4%を超える減少が見られ、学生のキャリア志向や実利志向が専攻選びに色濃く反映されています。

日本の受験生・保護者への影響

このニュースは、アメリカの大学への進学を目指す日本の高校生やその保護者にとっても見逃せない示唆を含んでいます。

第一に、コンピュータサイエンス専攻の競争率に対する影響です。近年の米国大学受験では、CS専攻を希望して出願すると合格率が極端に下がる傾向が続いていました。今回の全米的な専攻生の減少(12.4%減)により、志願者数の集中が一部緩和される可能性があります。ただし、今回のデータは米国内全体の学生を対象とした統計であり、留学生への適用や各大学の個別状況については大学の公式情報で確認が必要です。トップスクールにおけるCS専攻の出願難易度が直ちに下がるとは限らない点には留意してください。

第二に、工学系専攻の人気の高まりです。工学分野の入学者数が6%超増加していることから、理工系を目指す受験生の間でCSから他の工学分野(機械、電気、生体工学など)への志望の分散、あるいは工学分野全体の競争激化が起きている可能性があります。

第三に、コミュニティカレッジの堅調な伸びです。学費を抑えつつ4年制大学への編入を目指すルートとして、米国内でもコミュニティカレッジの需要が続いています。留学費用を検討する日本の家庭にとっても、引き続き現実的な選択肢の一つとして認識されている状況が読み取れます。

今からできることと出願戦略の考え方

最新のトレンドを踏まえ、米国の大学を目指す受験生は以下の点を行動に移すことが大切です。

1. 表面的なブームではなく、学問の本質への興味を見つめ直す

「就職に強いから」「流行しているから」という理由だけでコンピュータサイエンスを選んでいた層が離脱しつつあります。もしご自身が本当に計算機科学やプログラミングを深く学びたいと考えているのであれば、むしろ志望理由や課外活動の実績をエッセイで説得力を持って伝える好機になります。なぜその分野でなければならないのかを言語化しておきましょう。

2. 工学や医療系への出願要件を早めに確認する

工学や医療関連の学位プログラムは前年比6%超と人気が高まっています。これらの専攻を出願時に指定する場合、高校での履修科目(数学や理科の特定科目)に追加の要件が課されるケースが少なくありません。募集要項を精査し、必要な準備を進めてください。

3. 公式発表の確定データを待って動向を再点検する

今回発表された数値は全米学生情報センターの速報データ(全体の46%の集計)です。同センターによる2026年秋の確定データは1月に発表される予定となっています。最終的な集計で専攻別の傾向がどのように確定するか、継続して情報を追う姿勢が求められます。

まとめ

2026年秋の米国大学入試動向では、学部入学者全体の伸びが0.6%と鈍化する中で、4年制大学のコンピュータサイエンス専攻が前年比12.4%減という大きな転換点を迎えました。その一方で工学や医療系分野は6%を超える成長を見せており、就職市場の失業率動向(2024年のCS新卒失業率7%、コンピュータエンジニアリング7.8%など)が学生の進路選択に強い影響を与えています。

受験生自身が何を学びたいのか、将来どのようなスキルを身につけたいのかという軸を持ちながら、最新のデータと大学ごとの公式情報を冷静に見極めて出願戦略を立てていきましょう。

出典・参考

本記事は上記の公開情報をもとに、MINISTUD編集部が日本の受験生・保護者向けに要点と影響を解説したものです。出願要件や日程は年度・大学ごとに変わるため、最終的には必ず各大学・公式機関の最新情報をご確認ください。